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魔法の島医師と共存医療長寿(2)
2008年01月29日

http://www.asahi.com/international/weekly-asia/TKY200801290070.html

■「特別な力」への信頼は不変
カルメン・マグランギットさん(68)のしわくちゃな手のひらが肩を包んだ時、その熱さに驚いた。やがて温かさがじわりと染み渡り、体の奥に沈んだ。フィリピン中部のシキホール島。人口約8万人の小さな島だ。薬草やマッサージなど民間療法が今も根付き、「特別な力を持つ」とされる施術者(ヒーラー)たちが活躍するため、「魔法の島」と呼ばれている。島で生まれたマグランギットさんは12歳の時、「知らないおばさん」に導かれて民家の2階に連れていかれ、机の上の本に名前を書いた。後で同じ場所に行こうとしても見つからなかった。「不思議な力を得たのはそれから」という。主にマッサージを施す。赤ちゃんから老人まで、症状も頭痛、食欲不振、腰痛などさまざま。近所の人たちが、ちょっと具合が悪いと駆け込む。マッサージを受けながら愚痴を聞いてもらう。「きのうは14人も来たよ」家が貧しく、小学校4年までしか教育を受けていない。医学の知識も特別な資格もない。だが、半世紀にわたる彼女の「治療」は町の人たちの信頼を失うことはなかった。一番大事なのは忍耐力だと言う。「夜中でも早朝でも困った人が来れば治療をする。何時間でも、何度でも。だから辛抱強くないとできない」。それを続けられるのは、と尋ねるときっぱりと答えた。「特別な力を得た者の使命感です」シキホール州立病院のネル・アルコラン医師(64)によると、島のヒーラーは約100人。マッサージのほか、赤ん坊をとりあげることもある。決して魔法ではない。「この島は70年代まで病院がなかった。たった1人の医師が常駐するだけで、島の暮らしには彼らの存在が不可欠だった」州立病院ができ、6人の医師がいる今も、ヒーラーの役割は廃れない。島に住む教師リサリー・カリボさん(37)もお産の時には分娩(ぶんべん)室に入る直前までヒーラーと一緒だった。「マッサージをしてもらったが、それ以上に精神的に安定する」と言う。「現代医療」の側も、共存を模索する。州立病院は島で民間療法に携わる人の名簿をつくり、助産のセミナーで医学的知識もつけてもらう。彼らも協力的で摩擦はほとんどなく、「病院で薬草を炊くのをやめてもらったこと」ぐらい。「互いの存在を尊重しあい、役割分担をしている」とアルコラン医師は言う。最近は、終末期の患者が島を訪れることがある。重篤患者と家族がヒーラーを尋ねてすがるが、アルコラン医師は「彼らが重篤患者を治した例は確認していない。自分の力の限界を理解していて、そんな時は病院に連絡がある」と話す。
■「観光資源に」広がる役割
ヒーラーの役割は次第に広がり、時には治療を超える。町議会議員になったのはパストール・ドゥハイラングソットさん(82)。「逆子で生まれると不思議な力を持つ」との言い伝え通り、逆子で生まれ、その時すでに4本の歯が生えていたという伝説を持つ。16歳の時からお産に立ち会い、2000人以上の赤ん坊をとりあげてきた。明るい性格と深い信仰心で信頼を集め、62年から88年まで議員を務めた。町長に推す声もあったが、医師になるのが夢だった彼は、「それよりもヒーラーとして人々に尽くす喜びを選んだ」と言う。けんかや口論の仲裁をすることもある。かっとした人でも「不思議な力を持つ特別な人」の言葉なら聞く。シキホール州のオーランド・フア知事(46)も「彼らの多くが、裁判所の調停のような役割を果たしている」と認める。フア知事は、シキホールに根付く民間療法を観光資源にしたいと考える。「えたいの知れない魔法の島ではなく、癒やしの島にしたい」。知事自身も含め、島出身者の多くが「魔術を使う怖い人」と偏見をもたれた経験があるからだ。孤島ゆえに残された豊かな自然や薬草を研究し、伝統的なマッサージの技術も確立する。そのための学校を建設し、専門の療養施設も作る。「迷信ではなく、暮らしに息づく知恵や技術として島の誇りにしたい」シキホールに限らず、フィリピンで伝統的な民間療法を見直す動きが出てきたのはここ数年のことだ。05年、元保健相ハイメ・ガルベス・タンさん(59)のもとに、フィリピン・スパ協会から電話が入った。「フィリピン独自の民間療法を教えて欲しい」。スパ業界の関係者が集まる国際会議がシンガポールで開かれる。そこで各国の民間療法を紹介することになったが、フィリピンには何があるのか思いつかない、という問い合わせだった。保健相になる前、医師として地域医療に長く携わったタンさんは、地方で広く行われているフィリピンのマッサージ「ヒロット」を紹介した。ココナツオイルを使い、手のひらと指でマッサージする。国際会議で関心を集め、技能教育庁による認定試験の準備も始まった。人間の内部と、取り巻く環境とがつねに相互作用しているととらえるフィリピンの民間療法は、地球環境問題にも通じる発想だ。「民間療法と現代医学を組み合わせるアジアらしい医療を広げることが私の夢」と、タンさんは言う。(シキホール=木村文)

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