2005年3月23日
Philippine External Relations: A Centennial Vista, Manila
著編者 : Baviera, Aileen S.P. and Yu-Jose, Lydia ed.
国 : Philippines
出版元 : Foreign Service Institute
出版年 : 1998
フィリピンの国際関係、外交政策プロパーによる、フィリピンの対外政策を地域ごとに概観したたいそうなボリュームを誇る研究書です。題名にもある通り、主として20世紀における中国、アメリカ、日本、中東など、それぞれの地域に対するフィリピンの対外関係の歴史と現状がコンパクトにまとめられており、フィリピンの対外政策の歴史を学ぶには格好の一書です。それにしても、対中国には国内華人や国内共産党、アメリカには植民地支配や基地問題、日本には占領にまつわる賠償や援助、中東には国内イスラム教徒や石油など、どれをとってみても、よしんば個別に解決に当たっても相当な根気が必要な問題ばかりです。国内不安に悩まされながらも、これらの外交問題に取り組んできたフィリピン指導者の苦悩がしのばれます。
投稿者 MMG : 19:18 | - | - | -
2005年3月23日
A History of the 1902 Chinese Conclusion Act
著者 : Clark Alejandrino
国 : Philippines
出版元: Kaisa Para Sa Kaunlaran, Inc.
出版年: 2003
アメリカにおける中国人排斥運動と、フィリピンにおけるそれとを簡単に比較した小冊子。他の東南アジア諸国と同じく、フィリピンにおける華人も迫害の歴史をたどりますが、本書は植民地宗主国だったアメリカの対華人政策、特に対華人排斥法がフィリピンにおいてどのように適用されたのか、そして両者にはどのような違いがあるのか、その違いにはどのような要因があったのかが簡単に概観されています。筆者は現在オーストラリアで学ぶ華人系フィリピン人で、アテネオでの卒業論文のリライトということですので研究ノートという感も否めませんが、リファレンスがしっかりしていますので、この時期の対華人政策の概観をつかむには手ごろな一冊だと思います。
投稿者 MMG : 19:13 | - | - | -
2005年3月9日
Filipino Politics: Development and Decay
著者 : Wurfel, David
国 : Philippines
出版元: Ithaca, Cornel University Press
出版年: 1988
東南アジア諸国の政治を論じる際には、その国がどのような政治体制を取っているか、そして、その体制は歴史的にどのように獲得されたかが重要な研究となります。フィリピン研究の場合、比較的早くから民主主義が導入されたにもかかわらず、戒厳令によって、いわゆる権威主義独裁体制が10年以上も続き、その後劇的な革命によって独裁政権が打倒されるという、非常に振幅の激しい歴史があります。したがって、その経緯は「民主化」というキーワードで語られることが多いのですが、その民主化の度合いをはかる角度として著者は「政治発展」という概念を用い、フィリピンの歴史を「発展」と「退行」の織りなすドラマとして多元的に分析していきます。ちなみに私は修士論文作成中、本書と格闘した思い出があるのですが、修士論文を提出した直後に邦訳が出版され、思いっきりのけぞった苦い思い出があります。ちなみに邦訳は明石書店より、朝日新聞の大野さんの翻訳で出版されています。
投稿者 MMG : 20:56 | - | - | -
2005年3月9日
The South China Sea Dispute in Philippine Foreign Policy
著者 : Novicio, Noel M
国 : Singapore
出版元: Institute of Defence and Strategic Studies, Nanyang Technological University
年 : 2003
フィリピンの外交政策担当者による、南沙諸島問題を概観した概説書。南沙諸島問題とは、台湾海峡の問題とともに東南アジア地域における中国のプレゼンスを論じる際に必ず触れられる問題ですが、二国間関係で優位性を確保したい中国のスタンスと、二国間交渉では分が悪い、ASEANという舞台を利用して何とか多国間協議に持ち込みたい東南アジア諸国との思惑の違いが、フィリピンの立場から歴史的に概観されています。南沙諸島問題におけるフィリピンの立場を理解するための一書。
投稿者 MMG : 20:53 | - | - | -
2005年3月9日
A Journey of Struggle and Hope
著者 : Jovito Salonga
国 : Philippines
出版元: University of the Philippines, Regina Publishing
出版年: 2001
厳密に言うとあまり研究テーマの参考文献とは言いがたいのですが、反マルコス派の元上院議員の手による半世紀の自伝的記録です。以前、フィリピン大学元総長のアブエバさんのお宅にお邪魔した際に、「一番若者に勧める本は?」とお聞きしたところ、一番に紹介してくださったおススメの本が本書でした。筆者は日本軍政時代とマルコス時代に二度投獄された経験を持つ筋金入りの反権力の闘士、そしてフィリピンでもっとも清廉な政治家といわれる一人です。本書は、彼の自伝的記述という形をとってますが、アメリカ、日本、マルコス、ピープルズ・パワーと、そのままフィリピンの歩んできた激動の歴史の証言ともいえます。フィリピンの政治史を学ぶ上で、格好の一書といえると思います。
投稿者 MMG : 20:52 | - | - | -
2005年3月9日
Complehensive Engagement -Strategic Issues in
著者 : Aileen S. P. Baviera
国 : Philippines
出版元: Philippine China Development Resource center
出版年: 2000
フィリピンにおける国際関係論研究者による、フィリピン‐中国関係の研究書。筆者は政府系の外交研究所にて外交関係の研究に携わり、その後フィリピン大学の教員やNGOの活動などに取り組む気鋭の研究者。本書の特色は、ともすれば戦略研究だけで論じられがちな比中関係を、増大する双方の貿易やNGOの相互活動などの文化交流なども取り上げ、多角的に捉えようと試みているところにあります。ちなみに私は彼女の授業をフィリピン大学で受講しましたが、その知識と経験には圧倒されることしきりでした。流暢な英語を自在に操る、上品なマダムです。
投稿者 MMG : 20:50 | - | - | -