2005年3月9日
Filipino Politics: Development and Decay
著者 : Wurfel, David
国 : Philippines
出版元: Ithaca, Cornel University Press
出版年: 1988
東南アジア諸国の政治を論じる際には、その国がどのような政治体制を取っているか、そして、その体制は歴史的にどのように獲得されたかが重要な研究となります。フィリピン研究の場合、比較的早くから民主主義が導入されたにもかかわらず、戒厳令によって、いわゆる権威主義独裁体制が10年以上も続き、その後劇的な革命によって独裁政権が打倒されるという、非常に振幅の激しい歴史があります。したがって、その経緯は「民主化」というキーワードで語られることが多いのですが、その民主化の度合いをはかる角度として著者は「政治発展」という概念を用い、フィリピンの歴史を「発展」と「退行」の織りなすドラマとして多元的に分析していきます。ちなみに私は修士論文作成中、本書と格闘した思い出があるのですが、修士論文を提出した直後に邦訳が出版され、思いっきりのけぞった苦い思い出があります。ちなみに邦訳は明石書店より、朝日新聞の大野さんの翻訳で出版されています。
投稿者 MMG : 20:56 | -