2015年4月24日
タホ (Taho)
文章、写真: 美山 治 (ミヤマ オサム)
Text & Photograph: Miyama Osamu
1. こんなバケツに入っている。
【タホ "Taho"とは】
グリーンベルトのバロットを買った店 (記事)でついでに「タホ」も購入。30ペソ (81.02円, 0.67米ドル ※2015.04.24換算)。「タホ "Taho"」というのはフィリピンの豆腐のこと。読み方も似ている。
マニラでは天秤を担いだタホ売りが「タほぉぉ゛おッっ〜 ... タほぉぉぅ〜」と調子を付けた声で売り口上を述べながら道端を歩いている。
この風景 (※下記 YouTube動画) もなんとなく昔の日本の豆腐売りを彷彿とさせる。といっても日本のは時代劇か漫画で見ただけで実物は見たこと無いけどね。
道端でこのタホ売りを呼び止めて「ちょうだい」というと、おじさんがタホを何掬いかカップに「シャっ シャっ シャっ」と入れ、その上にシロップをかけてくれる。10~20ペソくらいだと思う。「サゴ "Sago" (注)」を入れるかどうかのオプションもあるみたいだ 。
豆腐は暖かく水分多め、柔らかくて味はおぼろ豆腐 (寄せ豆腐)そのものだ。しかし日本で知るおぼろ豆腐より水分は多い。しばらくカップに放置すると水分と豆腐が分離する (画像2)。
2. 分離した水
【冷奴を作ってみる1】
これをキンキンに冷やして冷奴を作ると旨いんでないかと常々思っていた。家に帰って試す。冷蔵庫に入れておいたら画像のように綺麗に分離していた。塊をいくつか掬い、水の部分を捨てて冷奴を作ってみたらやっぱし旨かった。にがりと大豆の味が濃厚で、日本で売ってるわりかし高めの豆腐に何ら遜色なし。
食感的にコレはコレでうまい。ちょうど茶碗蒸しの下のほうが水っぽくなった時にような感じ。しかし水分が多すぎて見た目が崩れすぎるのと、食べている間にタホから水がどんどん染み出してきてビシャビシャになる。日本の豆腐とどこが違うのだろう。
薀蓄 ~日本の豆腐とどこが違うのか調べた~ 〜日本の豆腐の一般的な分類〜 ※WikiPedia 「豆腐」の項から要約。 豆乳にニガリを加えて凝固したものを .... 1. 絹ごし豆腐: 「型にはめた後、水に晒した」もの。 2. 木綿豆腐: 「型にはめて圧縮して水抜きをした」もの。 3. おぼろ豆腐: 「そのまま掬った」もの。 ということらしい。YouTubeの動画をみる限り「タホ」の製法は「おぼろ豆腐」と一致する。でも日本のおぼろ豆腐は、ここまで後から後から水が湧いてくる感じはしなかった。 「おぼろ豆腐」を更に調べた。 「くぼさんのとうふ」という豆腐店の解説に以下のような記述を見つけた (※宣伝じゃありません)。 「(引用) ...豆乳が冷えないうちに凝固剤としてにがりを加え、櫂(かい)と呼ばれる木の板で撹拌(にがりを打った以降の一連の作業を“寄せ”と呼び、職人の技の見せ所です)し、豆乳の濃度、温度、にがりの量、そして「寄せ」がそろうと、豆乳は水と分離することなく固まり始め、やがておぼろ豆腐となります。...」 なるほど、ニガリと水分と豆乳をまんべんなく混ぜることで、ある程度の粘性を持たせているわけだ。タホの動画 (作成過程は3:30から)だと、バケツにニガリ (注2)を入れ、水を加えてバケツを軽く振ってニガリ溶液を作る。そこに温めた豆乳を流し込む。別のバケツに移し替える時に上下反対にして多少は混ざるものの、ヘラで撹拌するような描写はない (動画の6:30くらいから)。ここが水分と分離するかどうかの境目だろう。 |
3. 水気を切った。
【冷奴を作ってみる2】
水気をちゃんと切ったらどうなるのと思って、茶こしにキッチンペーパーを引いてそこへ流し込み、1時間ほど冷蔵庫に放置してみた。固形と呼べるくらいの形にはなった。いざ冷奴ッ!!。
これは、凄い。もっと早くやればよかった。こっちのスーパーで買えるなんちゃって絹ごし豆腐なんかより断然うまい。これもうちょい水分切ったら味噌汁もいけるな。茹でると崩れると思うので、味噌汁作って、食べる直前に上に乗っける感じだな。これ、マジおすすめ。
今度、もうちょっと水気を切ったやつ、切らないやつを、型にはめてみたり、加熱してみたりといろいろ試してみる。
4. 晴れて冷奴に!
YouTubeの動画
------- 脚注および参照リンク ------
注1: 「タピオカ」に似ているが非なるもの。「タピオカ」が「キャッサバ」の根茎から作られるのに対して、サゴは「サゴ・ヤシ」から作られる。(WikiPedia 「サゴヤシ」「タピオカ」の項を参照。)
注2: 日本で言う「ニガリ (WikiPedia)」に相当するものを、動画中ではタホ職人が"カルシウム"と言っている。字幕では"Calcium Sulfate"と補足されている。調べたところ「硫酸カルシウム」のことで、日本でも豆腐などを作る際の「製造用剤」としてしようされているそうだ。(「添加物大辞典」の「硫酸カルシウム」の項。)
1. ウィキペディア "Taho"
2. 動画中 (5:50) 、豆乳の搾りカス (おから)について「コレ捨てるの?」と聞かれ「いや、バゴーンとかと一緒に混ぜて食うよ。豚肉料理とかと一緒に。」と答えている場面がある。日本の「おから」のようにパサっとポロポロした感じではなく、まだウェットな感じだ。フィリピンのおからまだ見たこと無いな。ちなみにオカラをバゴーンに混ぜた料理を「ディナリアン (Dinailan)」と呼ぶらしい。
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投稿者 MMG : 19:02 | フィリピン料理
2015年4月23日
バロット (Balut)
文章、写真: 美山 治 (ミヤマ オサム)
Text & Photograph: Miyama Osamu
1. 見かけは普通の卵
随分前に「ソルティッドエッグ (Salted Egg)」を買った店 (過去記事)の前を通りかかったらバロットが売っていた。以前買ったソルティッドエッグが旨かったので、多分バロットもうまいだろうということで2個買った。一個20ペソ (54.18円、0.45米ドル ※Yahoo為替当日換算)。
バロットまたはバロッ (フィリピン語: balut) とは、孵化直前のアヒルの卵を加熱したゆで卵。フィリピン以外にも東南アジアの広い地域で食され .... Wiki Pedia 「バロット」より。 |
バロットがネットで話題になる時ってのは大抵ゲテモノ扱いで「いやあん、目がこっちを見てる!」とか「グロ注意」なんて言葉が踊るのだけど、実のところ鳥の形をしているわけではない。なんとなく見た目が内臓っぽいだけだ。
食べても鳥の味はしないし、ここが頭で、ここ手羽の部分とか、そういう食感はない。味的には濃厚な固茹で卵。違うのがちょこっと羽毛が混じってる点と、形成途中の軟骨と思われる部分。コリコリしてうまい。
多分カラーリングがグロく見えるだけで、ソースで煮たりして均一な茶色っぽい色使いにしてしまうと「なにこれウマそう」になると思う。では以降、バロットの画像をお楽しみください。
2. 殻の頭の部分を割ると...
3. 全部取り出すとこんな感じ。
----- 関連リンク ----
1. 以前書いたバロットのビン詰め商品の記事
2. 「ソルティッドエッグ (Itlog na maalat)」の記事
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投稿者 MMG : 04:13 | フィリピン料理