2007年1月11日
バカラ
文、写真: 美山治
Text & Photograph: Miyama Osamu
写真: バカラ? |
名前については大体の発音がわかったので後で辞書で調べることにして、おもむろにカメラを向けると、写真中央のディーラーさんの横に座っていたおじさんが「だめだめ、写真は駄目。警察来るっ。違法なんだから、もぉ」と手をばたばた振っている。あ、そっか、そうだねえ、と思ってカメラをしまおうとしたらディーラーの女性が「んなもんで捕まるわけ無いでしょ」って感じでさっきの男性の肩をばしーんと叩き、「写真くらい大丈夫だから撮っていいよ」と言ってくれた。んじゃ遠慮なくパシャリ。でも念のため細かい住所は伏せておきます。
加わりたそうな顔をしてゲームを見物していた10代とおぼしき女の子は、どうやら賭けるお金がなかったようで、こっちに気づくと、「10ペソ貸して。増やして返すから」と願い出てきた。あのね、それはギャンブルで身を持ち崩す典型的なパターンだよ。んなもの貸す訳も無いのですが、なるほど10ペソくらいで参加できちゃうんですね。テーブルをよく見ると散乱しているのは20ペソ札数枚、あとはコインばっかりの模様。しばらく見てましたが、ルールはわからずじまいでした。
そのうちディーラーさんが「あんたもやる?」って聞いてきたのですが、「ルールもわかんないからまた今度」って感じで断りました。実際参加してみてもよかったのですが、財布の中に細かいのが無くて、500ペソ札ばかり。そんな場所で500ペソ札の両替などできないだろうし、そんな大金を投入したら数十ペソで動いているこのゲームバランスは崩れちゃいます。普通に私が負ければいいんですが、万が一勝っちゃって、彼らのなけなしのお金を持ち帰ることにでもなったら大変ですし。
人だかりの中には顔見知りもいて、そうこうしているうちに「漏れも写真撮ってぇ」って感じになってきました。このままではバランガイ撮影大会に突入しそうな雰囲気だったので「面白かった、また今度ねえ」とディーラーさんに挨拶して、そそくさと立ち去りました。帰り道を歩いている時に気づいたんですが、あのゲーム「バカラ」じゃないかと。教えてギャンブラー。