2015年5月15日
LBC フィリピンの宅配便
文章、写真: 美山 治 (ミヤマ オサム)
Text & Photo: Miyama Osamu
1. お店の外観
【前書き】
田舎に帰省する子の長距離バスを送り出した後 (過去記事)、冷蔵庫を開けると、きのこの山とたけのこの里、そしてアーモンドチョコの三段重ね。おみやげに持って帰りたいといったので3つも店をはしごして買ったのに忘れて行きやがった。
そんなわけでチョコレートを送るために翌々日の朝 LBC へ。チョコレート3箱だけだと品代より送料のほうが高く付きそうなので、その他の忘れ物などもちょこっと混ぜて持っていった。
【フィリピンで郵送】
マニラに住み始めてから国際郵便 (EMS)で荷物を受け取るということは過去にあったが (過去記事)、郵便局 (フィリピン郵政公社 Phlpost 公式)で物を送るということをしたことがない。手紙はメールかテキストで用が済んじゃうし、そもそもフィリピン国内で郵送という機会がそれほどない。なので国内で「荷物送ろう」って時にパッと思い浮かぶのは郵便局ではなく、街中のあちこちで目にするLBCのほうだ。
【LBCとは】
「ルソン・ブロウカリッジ・コーポレーション (Luzon Brokerage Corporation)」の略だそうな。
LBC公式サイト1: http://www.lbcexpress.com/
LBC公式サイト2: http://corpsrv.teamlbc.com.ph/lbcexpress/
公式サイトが2つある。1つ目のサイトには個人消費者向けの「国内郵送」と「送金」サービスと企業向けサービス。
2つ目のサイトには国際郵便 (書類と荷物)のサービスに関する記載もある。OFWで関わりの深い地域には支社があるようだ。
日本では「トランステック (公式)」という会社が代理店的なことをやってるみたい。LBCと提携して日本からフィリピンへの送金とか宅配 (「バリクバヤン (Balikbayan Box)」というサービス)を行っている模様。
2. LBCの受付カウンター
【LBCの利用方法、料金など】
1. 送り方
荷物をLBCオフィスへ持って行って、これをどこそこへ送りたいといえば送付状をくれるのでその場で書き込むだけ。重すぎて運べない時は「ピックアップ (Pick Up)」というサービスがあって家まで荷物を取りに来てくれたりもするようだ 。
3. 送付状
1) 荷物の中身を確認する場合もあるので、取り出せるような状態で持っていたほうが良い。
2) 受取人は電話番号と有効な身分証明書を持っていることが条件。これがない場合は身近な親族、例えば両親などを受取人に指定する他ない。これが後で問題になることも (下記エピソード参照)。
2. 重さ、料金
領収書には"Actual Wt3"と書いてある。単位が不明だけど、持った感じ1kgもない。3kgでも3gでもないと思うので300gかな。「ナガ (Naga) ※ウィキペディア」というとこまで配達してもらって270ペソ。そんなびっくりするような値段でもない。おおよその値段は画像5の"Cost Calculator"をクリックで計算できる。
※270ペソは15日のレートで724.73円 (1ペソ≒2.68円)
3. 配達にかかる時間
「3日くらい?」と聞くと「いや、明日には着くでしょう」とは言われたものの、15日朝に発送して17日のお昼すぎに到着したようだ。
日本のように翌朝便だとか日付指定とかそういう細かいなサービスは期待できないとしても、届けばいいって時はこれで充分。しかし、きのこの山はチョコの部分が溶けていたらしい。まあこの暑い季節でトラック輸送なんてしたらこうなるだろうなとは思ってたんだけどね。
トラッキングナンバーってのが発行されるので、それで進捗状況を確認可能。あと送金のサービスもある。
4. 領収書。左上にトラッキングナンバー
5. ホームページ。左上の "Track & Trace"をクリックしトラッキングナンバーを入力。
【送金もできる】
上で触れたようにLBCでは送金もできる。先日「比、成人の銀行口座保有率31%に上昇 (SankeiBiz)」みたいなニュースを見た。成人で30%でも低いなとは思うのだけど、在住者の感覚からすると、ちょっと「んん?」って感じで実際そこまで普及してないと思う(この話はまた今度)。なので、現金配達という手段はこの国では結構重要なサービスだ。
<送金の仕組み>
もちろん現金を物理的に輸送するわけではない。送金者が現金をLBCに渡すとLBC側が社内口座で送金手続きして、地方の支社で引き出した現金を相手に渡すという仕組み。なので「理屈としては」 近所にLBCがあるような繁華な場所だとすぐに受け取ることができる。
<実際に送金した時のエピソード>
「理屈としては」と書いたのには訳があって、離島などの遠隔地に送金する場合などはちょっと厄介だ。LBC側が配達できない場所 (この場合、受取人がオフィスに取りに行く)や、配達困難な場所などは時間がかかる。これは荷物の場合も同じだ。
今回の荷物話とは別だが随分昔、台風で家が半壊したと泣きつかれたことがあった。銀行口座持ってるかどうか聞いたら「無い。LBCなら受け取れる。」と言われ、その時に初めてLBCを使って送金した。
その時、受取人は離島に住んでいて「シティーに出るときは漁師さんがバンカーボートで通りかかった時に乗せてもらうの。」とか言ってた。もはや 「来ない時はどうするの?」 とか 「何時ごろ?」 とか 「何日後?」 とかそういうスパンで時間を捉えてはいけない。"Mamaya"である。
しばらく屋根なしの家で過ごしたらしいが、結局、お金は3日後に無事届いた。「いついつまでに」 とか緊急を要する場合以外は「待てばちゃんと届く」という意味で信頼できる良いサービス。
実は翌日には現金が届いていて、その子の父親がそれを受け取りながらも「そんなもん来てないぞ?」としらばっくれていたことが後日発覚。その後、修羅場になったという話は秘密だ。