2018年6月1日
Kayoの木
写真、文章: 美山 治 (ミヤマ オサム)
Photo and Text: Miyama Osamu
1. こんな木
2018年5月6日から8日にかけて、うちのチビと旧友とともにビコールへ旅行 (記事を読む) へ出かけた。ビコールはチビの故郷だ。
車で走っていると道すがら上の写真のような木を何度も見かけた。なんというか電柱のような、両手を広げた人が立っているかのような奇妙な木。
チビに尋ねたがコットンが取れるということは分かったものの肝心の名前がわからない。
旅の二日目、ティガオンにあるチビの実家へお邪魔して昼食を御馳走になった際、裏の田んぼを眺めていると、ここにもあったよ気になる木。
親類、近所の人も集まっていたのでこれなら誰か知っているだろうと、木を指さしながら聞いてみた。
チビの母曰く "Kayo (カヨ)" という名前らしい。
そんなわけで名前はわかったので自宅へ帰った後でゆっくり調べることにした。
2. 全体がよく分かる画像 (チビ撮影: 2018/05/20)
久しぶりの帰省になったのと、バランガイ選挙 (ニュース) の投票があるため、チビはしばらくティガオンにとどまる。チビと別れ旧友と二人でマニラへの帰路へ。
道中、遅い朝食を取りに入った食堂の駐車場に Kayo の木が立っていた。
最初は気が付かなかったけど、確かに実の部分からホワホワと綿毛のような物が出ている。
もうちょっと近づければ木の根元に落ちてる実が拾えるかなと思ったんだけど、手前に藪があって断念。
車で走っていたとき、一度だけだけど綿毛がふわふわとフロントガラスの前を飛んでいった。こうやってタンポポみたいに種子を飛ばすのかな (推測)。
マニラに帰って自分で撮った写真を見返したものの、あんまりよく撮れてない。そこでティガオンに残っているチビにkayoの実をお土産に持って帰るよう頼み、ついでにこの木のいい感じの写真を撮ってくるように伝えた。
3. 根本にこんな感じで綿が (チビ撮影: 2018/05/20)
4. 根本に落ちた実。綿がツブツブに詰まっている。 (チビ撮影: 2018/05/12)
5. モフモフ (美山撮影: 2018/05/23)
6. 殻を手で割ると種が弾け飛んだ (美山撮影: 2018/06/01)
7. 放置していたら綿がモフモフ広がってきた (美山撮影: 2018/06/02)
8. どうやら綿の粒一つ一つに種が入っているようだ (美山撮影: 2018/06/02)
【薀蓄】
1) 名前
英語だと "Ceiba pentandra"、日本語だとインドネシア語由来の「カポック」「パンヤノキ」などと呼ばれる。
フィリピンの言葉では"Bunoi"とか"Bulak"などと呼ばれるようだけど、調べてみると地方によって結構バリエーションが有る上に、インドネシア語の「カポック」が語源じゃないのかなあなんて思われる "Kapak" や "Kapuk"なんて語彙も散見される。 これは同じ地方の人でも呼び方が違う可能性があるかもしれない (参考) 。
少なくとも三世代前まではビコール出身だというチビの母に教えてもらった名前は "Kayo"。これはビコールの言葉に分類される。チビの母は伝統派だ。
2) 利用法
さて、Wikipediaを丸写しすることにする。
... カポックの実から採れる繊維は、糸に加工するには不向きで、燃えやすいという難点がある一方で、撥水性に優れ軽量である。枕などの詰め物やソフトボールの芯として使われている他、第二次世界大戦頃までは救命胴衣や救難用の浮き輪にも利用されていた。今でも、競艇業界や海上自衛隊では救命胴衣のことをカポックと呼んでいる。... (WikiPedia)
この項了
【参考リンク】