2015年5月12日
フィリピンのうちわ (Pamaypay)
文章、写真: 美山 治 (ミヤマ オサム)
Text & Photo: Miyama Osamu
1. パマイパイ、アバニコ (Pamaypay, Abanico) うちわ
【地方へ帰省する子を見送りに】
うちの近所にある「フィルトランコ (Philtranco) ※公式サイト」っていうバス会社のステーションに知人を見送りに行った。台風で帰省を控えていた人が一斉に殺到したもんだからチケットが取りづらかったらしく、エアコン・バスじゃないやつになったそうだ。
前回見送った際はエアコン・バスだったので、エアコンの効いた待合室で椅子に座ってゲート前でボケっと待っていたらよかったのだが、今回バスの発着は建物外の道沿い。運賃の違いでかくも待遇が違うのかと。待ってるだけで汗がじわじわ。バスのディーゼル排気ガスで頭くらくら。バスの中で出発を待ってる人も厚手の紙や扇子でバタバタ仰いでいる。このまま9〜10時間、エアコンなしでバスに揺られていくのか。。。きついだろうなあ。
2. 出発を前に名残を惜しむカップル
暑すぎるだろっと思った瞬間、目の前を物売りが横切った。うちわを持ってる。やっぱ需要があるんだね。呼び止めて自分用と合わせて二枚買った。一枚20ペソ (当日換算で53.64円、0.44米ドル)。手編みだろうに安いなあ。作るのにどれだけ時間がかるんだろう。仮に1時間で編み終えたとしても、時給は最低でも53円以下ってことでしょこれ。ん〜。まあそのおかげで自分のような人間でも楽に暮らしていけるんだなと感謝。
.... さて本題。
【特徴】
写真のように骨組みはない。中央に微妙なくぼみがあって、そのくぼみが柄の部分に吸い込まれるように収束していく。良いデザイン。これが骨なしでもある程度の強度を保ち、なおかつ空気をすくい取るようにうまく設計されている。軽く振っただけで、がっぱがっぱ空気が動く。
【名前】
「フィリピン うちわ」 "Philippines Fan"とかでググると「アバニコ (Abanico)」という単語がヒットするんだけど、どうも「アバニコ (Abanico)」ってのは「うちわ」とか「せんす」全般を指す言葉らしい。骨のついた折り畳み付きの扇子も「アバニコ」と呼ぶ。おそらくはスペイン語由来 (GlosBeという辞書サイトの"Abanico"の項。)
もちろん間違いではないし通じるんだけど、この葉っぱで出来たうちわを指す言葉が知りたかった。色々検索していたら「パマイパイ (Pamaypay)」という単語に行き着いた。上記GlosBeという辞書サイトで検索すると「扇子」としか出てこない ("Pamaypay"の項)。言葉の「辞書的意味」としては同じだ。
<推測 〜名前について〜>
「アバニコ」も「パマイパイ」も「扇子、うちわ」などを指す。違いはスペイン語かタガログ語かというだけだ。ただ、ちょっと使われるニュアンスが違う。「パマイパイ」のほうがよりローカル的な、「土着の植物などの材料を使った日常で使われるもの」という意味合いが強い気がする。
<推測2 〜材料〜>
ググっている途中で色々寄り道すると「椰子の葉で作られた...」という記述が散見される。まあ多分そうなんだろうけど、椰子の葉を手にとって見たり、乾燥させて茶色くなったものを間近で見たことがないので保留。
※ パマイパイを作成中の凄くいい写真を見つけた。("Flicker"の
"Oomphoto - Nancy G. Villarroya"さんの画像 "Lady abanico maker")。
だれか詳しい人がいたらうちの掲示板で教えて下さい。
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