2008年1月16日

SSSを取得したよ

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文、写真: 美山治
Text & Photograph: Miyama Osamu

写真1:SSS外観
(08.01.09)
今いる会社の業務の一部が、そっくりそのまま別の会社へ売却ということになった。従業員側からいうと勤務地も業務内容も変わらないけれど、所属している会社の名前だけが変わるということだ。契約上、守秘義務があるので詳しくは書けないが、アウトソージングというのはこういうことが時々あるので面白い。もっとも、これに伴い解雇された従業員も結構いる。

業務が同じでも雇用主が変われば契約も変わるので、新しい契約書にサインする必要がある。健康診断や各種証明書の提出などがあって色々と面倒だ。年末から年始にかけて1週間ほど日本でのんびりしていたのだけど、その前後は忙しかった。

さて、契約関連書類の中に "SSS Number"という記載事項があった。"SSS"とは"Social Security System"の略だ。直訳すると「社会保障機構」か。フィリピン政府の事業 の1つで、SSSの公式サイト(こちら)を見ると、大きく分けて「保険」と「お金の貸出」が主なサービスのようだ。
保険は疾病、退職、出産、死亡、障害、医療などに適用される。お金の貸出は結構細かくサービスが分かれているので、大雑把にいうと「単なる借金」「家をたてる際のローン」「起業する際の補助」など3つのカテゴリーがある。詳しくはSSS公式サイト内"Benefits"と"Loans"の項を参照してください。

契約書にこの番号がなぜ必要なのかというと、SSSナンバー自体が一種の身分証明書のような役割を果たすからだ。なので会社の契約書によっては別の身分証明書で代用可能な場合もある。

さて2008年1月9日、その"SSS Number"を取得するため Makati 市 (MMGカテゴリ)にある SSS のオフィスへ行って来た。場所はマカティ市のMakati Ave (マカティ アベニュー)とBuendia Ave (ブエンディア アベニュー)の交差点、Petron (ペトロン)ガソリンスタンド隣の "Department of Trade and Industry (貿易産業省)"というビルの1階にある(写真1)(注1)。 本部はQuezon City (ケソン市)にあるらしい。(メトロマニラ内ブランチ一覧

>> SSS周辺の地図はこちら

写真2:E-1申請用紙
(08.01.09)
ビルの中に入ってみると、少し薄暗く、人々がざわざわとひしめき合うお役所にありがちな光景だ。各レーンにロープが張られているので、一応は一列に人が並んでいる。カウンターを観察しているとそれなりに業務は進んでいるようで、これならぼけっと並んでいてもいつかは自分の順番が来るだろう。黙って待っていると次々と割り込まれるような状況だと、それなりに気を張っていないといけない。

幾つも窓口があったので、どこに並んでいいのか分からない。会社の人からは「メンバーシップ」というのを取得すればSSSナンバーが貰えると教えられていたので、入り口付近に立っていたセキュリティーガードの人に「新規メンバーシップの番号を貰うにはどこに並べばいいですか?」と尋ねたところ「カウンターAに並んで申請用紙を貰って、その用紙を埋めて、身分証明書を持ってカウンタ−Gにその用紙を持ってって。」と教えてくれた。この瞬間、会社の同僚から言われた「パスポートのコピー、事前に取っておいた方がいいですよ。」という言葉を思い出した。「パスポートのコピー必要ですか?」「うん。」「ここにコピー機は無いですよね?」と聞くと「ないなあ。セブンイレブンのええとと。。。あああ。ううーーええと、、ううむ。。」「ありがとう。探してみるよ。」。なるほどセブンイレブンの近くにあるようだ。

そのままセブンイレブンへ行って辺りをきょろきょろすると、隣に"Notary Public"があった。いわゆる代書屋さんだ。色んな書類を持った人たちがコピーを取ってもらうために群がっている。ここでは順番待ちレーン用のロープなどないので、持っている書類を皆が思い思いに係のおじさんに突き出して「コピー3枚ねっ」とか、「カラーコピーないの?」とか、好き勝手主張している。こういう場所では、こちらが引いたらいつまでも順番は回ってこない。人々が自然に列を作って並ぶ習慣を身につけるには、それなりの年月を要する。いつもより半歩前に進んで身を乗り出して、順番おかまい無しで「これのコピー。一枚」とパスポートを突き出す。時には図々しさも必要だ。

コピーを取ってもらってまたSSSへ戻って来た。さっきは気がつかなかったが、建物入り口前にボールペンを売っているベンダーの人がいたので12ペソで購入した。さっきのセキュリティーガードにコピーをぴらぴらさせながら「コピー取れたよ」とお礼を言って、申請用紙を貰うためカウンターAに並んだ。

写真3:SSS内の様子
(08.01.09)
申請用紙を貰うためだけに並ぶというのは少々非効率な気もするけれど、どの書類が必要なのかわからない人も結構いて、自分にどの手続きが必要なのかを係の人と話し込んでいる人もいた。用紙を記入した後、さんざん並んでいざ申請窓口についた時に全然違う用紙だったとか、必要な書類が揃っていなかっただとか、そういうことで再度並び直しになるというのを未然に防ぐためにはいいのかもしれない。
単純に申請内容別案内板を壁に掲示して各自で申請用紙を自由に取れるように置いておき、「わからない人はこちら」という窓口を設けるだけでもいい気がするけれど、ここのように「取り敢えず並ぶ」システムを採用しているということは、わからない人の方が多いということだろう。

Aカウンターには15人ほど並んでいたが、20分程度で私の順番となった。「新しいメンバーシップを取得したいのですが。」こうして渡されたのが"E-1"という申請用紙(写真2)で"E"と"1"が何を表しているのかは調べてみたものの分からなかった。もしかすると"Employee(被雇用者)"の"E"かもしれない(注2)。(申請用紙はここからPDFでダウンロード可能)
用紙の記入欄には英語の横に括弧書きでタガログ語が記載されており、英語がわからない人にも配慮されているようだ。母親の名前を書く欄には"MOTHER (INA)"とある。「父」「母」と言えば"Tatay" "Nanayだと思っていたのだけれど、ここには"AMA(父)”"INA(母)"とある。公式文書ではこういう表現を使うんだなあと思った。さしずめ「父、母」と「父さん、母さん」の違いなのだろうか。ふと"Putang Ina Mo 「お前の母ちゃん売春婦」"という罵りの言葉に"Ina"が使われることを思い出した。敢えて丁寧な言葉を使って罵るのだろうか。今度調べてみよう。

話を戻す。私は妻も子供もいないので記入項目が少なく、とっとと書類への記入を終わらせ、仕上げに両手親指の指紋をぺたりとやってGカウンターに並んだ。ここは少し混んでいて30人ほど並んでいた。両手親指についたインクをジーンズで拭きながら待っていると、列のあちこちから申請用紙に関する会話が聞こえて来る。

「あんた指紋取ってないじゃない。そこにインクあるからやっておいで、受け付けてもらえないよ」とか「身分証明書のコピーちゃんと取って来た?コピー取っとかないと身分証明書自体を預けないといけなくなるよ。」とか、互いに指摘し合っている。「あんたの順番取っておいてあげるからコピー取ったらここへ戻っておいで。」。その度に列から離脱したり、あわてて指紋を押印しに行った人が照れ笑いを浮かべて戻って来たりする。中には身分証明書もコピーも持って来ていない人もいて、そのまま悔しそうにうつむいて帰る人もいた。書類を揃えるっていうことは結構大変なことなんだなあと思った。

窓口までたどり着き、記入した申請用紙とパスポートのコピーを係の女性に渡した。「パスポートの原本を。」と言われ、パスポートを渡す。身分証明書のコピーが、コピー元と同じかどうかを確認する作業だ。確かにこの作業が無ければ、人の身分証明書をコピーするだけでSSSナンバーが取得できてしまう。なるほどコピーと原本、両方必要な訳だ。

確認後、係の人が申請用紙を印刷機に押し込んだ。ギギギーギギっという音とともに申請用紙左上の空欄になっている"SSS Number"の箇所にSSSナンバーが刻印された。一旦窓口に着いてしまえば1分ほど。ハプニングを期待していた私にとっては「これで終わり?」というほどあっけなく番号が取得できてしまった。悪ければ半日、よくて2-3時間と思っていた割には早く済んだ。セブンイレブンとの往復も含めて大体1時間くらいだ。

ちなみに申請用紙にも申請自体にも費用はかからない。今回かかったのはコピー代2ペソとボールペン代12ペソのみ。もちろん、今後給料から一定の額がSSS名目で天引きされるので会費のような物は必要だ。せっかくお金払うのだし、家のローンを組んだり、借金したりすることは無いけれど、もう少し調べて、風邪をひいた時などに利用してみて、何かここで文章を書いてみようと思う。


---------参考記事、関連リンク---------
・ SSS公式サイト (http://www.sss.gov.ph/)

注1) 貿易産業省というビルの一室に所在するが、カテゴリ的には「労働雇用省」か「社会福祉開発省」に属するようだ。
 ・「労働雇用省」"Department of Labor and Employment (DOLE)"
 ・「社会福祉開発省」"Department of Social Welfare and Development (DSWD)"

注2) E-1の説明 (http://www.sss.gov.ph/form/e1_0001.htm)
SSS Form E-1: Personal Record
The Personal Record Form (E-1) can be used by any Filipino citizen not over 60 years old to register for membership with the SSS as an employee-member.

You must fill up the first page of Form E-1 using black ink and submit it in two original copies in person to the nearest SSS branch. See page 2 of the form for the supporting documents you will need to submit with your application.



投稿者 MMG : 07:56 | - | |